鰹節を削る製造現場より
鰹節を削る製造工程をご覧ください。機械の音が聞こえるくらいの臨場感を体感してください。

田尻工場(花かつお製造工程)

  • 製造工程1

    原料

    焼津の鰹節加工業者、九州の鰹節業者、四国の鰹節業者、の日本中の鰹節製造業社はもちろん、海外のインドネシアをはじめとする鰹節業者から、鰹節が入荷されてきます。

    焼津の鰹節ですと作り立てでまだ温かいものから、船便で太平洋をゆっくりと時間をかけて渡ってきた鰹節などさまざまです。 夏場は外の温度が暑い為に冷蔵庫に保管いたしますが、冬は外の方が寒すぎて冷えるため、逆に原料を冷やしすぎない事を目的に、冷蔵庫に保管する場合もあります。 鰹節で脂が多い物は原料の内面に脂肪分がついて、脂が少ない物はつきません。

    また外国産の鰹節は鰹が赤道付近で泳いでいるので、脂肪分が少なくて削ると花立ちも良く、日本の鰹節は燻製で使用する薪が、国内で作られた物ですので香りが日本人に合っています。

    ダンボールに入った原料
    一大産地の一つである焼津の鰹節。18~20kgで1c/s。中はきれいに並んでいる。
    この1パレット35c/sで700kgの鰹節がある。

  • 製造工程2

    ブラッシング

    鰹節は鰹から出来上がるので、体内には骨がございます。
    鰹節を作る工程の最中に「骨抜き」と言われる水槽の中で、骨を抜く『骨抜き工程』があるのですが、鰹節の製造工場で全て綺麗に取り除けるわけではございません。
    昔は綺麗に骨抜きを行っていたのですが、近年の大量生産方式に変わってから、だんだん骨を完全に取り除かない方向に流れてきました。
    もちろん用途によっては綺麗に取り除く鰹節もあり、全てに骨が残っているわけでもなく、外国産の鰹節で特にインドネシア産などは、比較的綺麗に取り除かれております。

    『ブラッシング工程』では、ニンジンに着いている泥を取る機械で、鰹節の表面についている骨のほかに、皮・鰹節のカケラ・異物を取り除きます。鰹節のカケラは集めて「だしパック」を始めとする、抽出用の原料になります。異物も大きいものは、取り除きます。過去に発見された物は、『ビニール・プラスチック・ちりとり』です。

    ブラッシングで鰹節表面の夾雑物を取り除く

  • 製造工程3

    金属検出機

    鰹節の表面や内部にある金属類を探知・発見し取り除く工程です。 実際のところ、鰹節で金属検出機が反応する事はほとんどありませんが、血合いが多いと反応すると言われています。 金属検出機が威力を発揮する場面は、「さば節」の作業中です。

    鰹節は、製造工程で内臓部分を取り除きますが、鯖節は取り除きません。よって、なんでも食べてしまう鯖の内臓に、釣り針が入っていて、金属検出機に反応する事がございます。

    金属探知機
    金属検出機の感度・Fe1.5 Sus3.0

  • 製造工程4

    浸漬(お湯付け・または水付けなど)

    鰹節はとても硬い食べ物です。世界で一番硬い食べ物であると噂されることもございます。 完成した鰹節をそのまま削りますと、鰹節の硬さに負けてしまい削り用のカンナ刃が欠けてしまう場合があります。

    そこで鰹節をやわらかくする為に水分を与える必要があります。またやわらかくすると、削りやすくなるばかりでなく削り花が美しく削れます。 だいたい60度~70度くらいの湯温で15分くらい漬けて外に出しておきますと、やわらかくなります。 我々は「しんなりする」と表現しています。

    鰹節によっては60度くらいで90分程漬けるものもあれば、 真夏の暑いときには上から水をかけて3時間ぐらい置いておきますと、水分が浸透していきます。 あまり長い時間お湯に漬けて置きますと「だし」が逃げてしまいます。 どのくらいお湯に漬ければ良いかは長年鰹節に携わってきた経験を基に判断しています。

    しかしながら全ての鰹節類がこの工程を通過するわけではありません。 例えば「だし」として鰹節を使用されるお客様の鰹節に関しましては、強制的に水分を与えますと鰹節から「だし」が逃げてしまいますので、水分を与えない場面もございます。

    原料をお湯に浸している
    お湯に鰹節を浸しているところ

  • 製造工程5

    蒸煮

    浸漬工程と同様に鰹節に水分を含ませます。 強制加圧釜のなかで鰹節の種類や魚質によって違いますが、おおむね120度で20分間水分を与え続けます。
    前工程の「浸漬」だけで水分が入りきれない部分もこちらの釜に入れて、強制的に水分を入れる事により鰹節の内側に水分が入ります。 また殺菌の側面もかねております。

    圧力を加えて強制的に水分を付与する
    鰹節に強制水分を与える釜

  • 製造工程6

    削り

    いよいよ鰹節を削ります。とても薄い物で10ミクロンくらいの物から、厚い物で1mmくらいのものまで多様な薄さの鰹節を削ります。高速回転する盤に18枚の研磨した刃をはめ込んで鰹節を削ります。

    薄い物は舌の上で溶けていきます。 この舌の上で解ける感じは体験した者でないと解りません。鰹節を削る際に設定する刃の出ぐあいの調整は一朝一夕に出来るわけではなく、自分の思い通りに厚さを調整できるようになるまでおおむね3年掛かります。

    削り節と削り機
    削られた直後の鰹削り節

  • 製造工程7

    乾燥

    削った鰹節を乾燥いたします。 水分が多いと「しっとり重い」鰹節になってしまい、見た目がよくありません。また、一部の鰹節の商品は「窒素充填」を行わない為、水分が多いとカビが発生しやすいので水分を飛ばします。 お客様の用途に合わせて水分コントロールをする事も可能でございます。

    また逆に水分を飛ばす目的で乾燥温度を高くしますと、焦げたり「焦げ臭」がついてしまう場面がありまして、水分を飛ばしながら風味を残すには長年の経験を必要とするところです。機械下部でバーナーを炊いて、熱風を起こして熱風乾燥を行うことにより水分を飛ばします。

    削り節の水分を飛ばす乾燥機

  • 製造工程8

    破砕

    削った鰹節を細かくします。削った鰹節の使い方は様々です。弊社のお客様も、だしメーカー様、佃煮製造会社様、コンビニエンスストア様、醸造メーカー様、たこ焼屋様など、いろいろな業種にいらっしゃいます。お客様の御希望される使い方によって、鰹削り節の姿形を変えなければいけません。

    そこでこの破砕機を使用して、細かくいたします。破砕機の下部に網を張り網のサイズを調整する事により網から通過した物のサイズを変更して、削り節のサイズを変えていきます。ここでのサイズ調整により、お客様の商品開発などにおいてより良い形になっていきます。ちなみに現在御用意できるものは、アイテムで200種類以上です。

    鰹節を細かくする破砕機
    削った鰹削り節を細かくする破砕機

  • 製造工程9

    風力選別機

    重異物を除去します。鰹節を削った際にカスが発生します。「切羽」と呼ばれていたりします。鰹節の表皮の一部分であったり、削り機の機械の特性上たまたま厚く削れた部分です。
    このカスが薄く削った鰹節とともに、製品に入る込むのをなるべく防ぐための工程です。

    機械の下から風が中に送り込まれています。このとき薄く削った軽い物は風に乗って次の工程に流れて、重異物は風に乗り切れずに異物として落ちてきます。製品よりも身が重くて風に乗らない物がはじかれます。

    鰹節とそれ以外の異物を選別する風力選別機

  • 製造工程10

    金属検出機

    削った鰹節を最後にもう一度金属検出機で通過させます。感度は「Sus1.5」「Fe0.7」です。 見学にこられたお客様も安心される感度です。

    製品を梱包した後で金属検出機を通過する物もございますが、弊社は製品をそのままの形で金属検出機を通過させています。 金属検出機の感度確認は午前中の製造前と終了時、午後の製造前と製造終了時に行っています。

    金属探知機で鰹節に紛れた金属異物を取り除く
    削った鰹削り節に含まれている可能性のある金属異物を取り除く

  • 製造工程11

    計量

    規定量に合わせて鰹削り節を計量しています。 小林食品は「業務用鰹節」に特化している会社ですので、 1袋当たり100g~最大10kgまでの削り節を計量しています。 鰹削り節は原料の質、削る際の削り機の刃の具合など様々な要因によって、同じ設定で製造をおこなっても、計量したときに「カサ」が違います。

    長年経験を積んだスタッフが計量ポイントで作業をしていますと、乾燥具合や鰹削り節の当日の製品の物の良さがすぐにわかります。

    鰹節を計量する
    削った鰹削り節を計量しているところ

  • 製造工程12

    窒素充填

    酸素を取り出して代わりに窒素を入れて酸化を防いで鰹削り節の劣化を防ぎます。
    お客様の御希望により商品によっては窒素充填を行わない物もございます。5kg対応の大型窒素充填機も備えております。

    鰹節を窒素充填して密閉する
    鰹削り節を窒素充填しているところ

  • 製造工程13

    削り節の完成

    鰹削り節の完成です。 生の鰹が港についてから早くて1ヶ月、長いと半年以上かかりながら、ようやく鰹削り節の完成です。 漁師さん、鰹節つくりの職人さん、鰹削り節の職人と、多くの皆さんの努力の賜物として完成いたしました。 製品は100g~10kgまでと幅広く、多くの業種のお客様向けの物として御用意できています。

    鰹節の完成
    小林食品のスタッフが精魂込めて作った製品の完成