08.「山彦日記」

4月1日

家の裏山で母が片付け仕事をしていたら、イノシシが現れたという。
イノシシがいるところに母が現れたかもしれない。気丈な母は石を投げて、イノシシを
追いやったらしい。さすが山彦の母である。

ある村人いはく、イノシシは「ブヒブヒ」と鳴くという。イノシシを家畜化させたもの
が豚であるから、鳴き声も豚と同じというのはうなずける。
山彦はこんな田舎に住んではいるが、幸か不幸か、いまだにイノシシを目撃していない。
したがって鳴き声も聞いたことがない。近くでイノシシと遭遇したら怖いけど、鳴き声を
聞いて、なんと鳴くのか確かめてみたい。

散歩時に脇の林を見て、ふと想像する。
イノシシ子「あれっ なんか音がする。あっ人間だ こわいよお ぶひぶひ」
イノシシ母「せっかく食事中なのにねえ。しょうがないわね、沢の向こうの窪地へ行って
みましょ ぶひぶひ」

「黙って静かに歩いていった」と母はいう。ここだけの話だが、母は耳が遠い。それも
非常に…。あの時イノシシは何といって山へ帰っていったのか。う~ん聞いてみたい