02.鰹の世界の需要について(缶詰の需要)

以前は日本が世界の缶詰工場と呼ばれていた時期もあったとの事ですが、缶詰も日本人は食べる量が減ってきているようで、その代わりに他の地域では需要と供給が増えているようです。このような中、缶詰の工場が日本からタイやインドネシア、フィリピンに移っています。

現在、バンコク全体での1日の缶詰製造能力は解りませんが、あるデータでは、1主要メーカーのグループだけで最大処理能力として1日で1200㌧の生の鰹を加工して製品にする事が出来るそうです。その他にも缶詰のメーカーはタイの沿岸部に点在しているので、タイ全体での処理量はもっと多くなります。日本は缶詰業者・鰹節業者等全て合わせても、1日1000㌧は生の鰹を加工処理できないと思われます。

私も数年ほど前にバンコクの缶詰工場を見学してきたのですが、体育館ぐらいの大きさの建物の中に数百人の人間が居て、煮た後の鰹が流れてくるラインの両側に立って、一匹一匹鰹を手で取ってピンセットで骨を抜いていました。

ちなみにこれだけの量の鰹を製品にする為の缶詰の缶は、どこから持ってくるのか不思議になって質問しますと、「後ろの工場で作っている。」と言われ、案内してもらいましたが、本当に缶をアルミのシートから作っていました。

バンコクは世界の缶詰工場です。世界中の鰹を集めれば集めるほど加工していきます。そしてここで生の鰹の相場が決まるのです。

昔は鮪が缶詰の原料として使用されていましたが、近年は資源保護を目的に、鮪の漁獲制限と保護の運動が世界規模で高まり、その結果、缶詰の原料が鮪から鰹へと変わってきました。

主に太平洋沿岸の多くの国が所属する、WCPFC(中西部太平洋鮪類委員会)では、2009年からマグロの資源保護を目的に、鰹と鮪を同時に漁獲する、巻網冷凍船の漁獲の1部を夏季の間に制限しました。別号にて内容を改めて紹介致しますが、こちらは今後どのようになっていくか注視していく必要があります。

また狂牛病問題に代表されるような農畜産物系の食物での人体に与える影響を特に欧米人が心配し始め、水産物の加工品の需要が高まる中、缶詰の消費が世界規模で高まってきました。

このような事情から、近年は鰹の需要が世界規模で高まりつつあります。
その鰹を原料として加工する国では漁獲確保に頭を悩ませる一方、鰹が近海でたくさん採れる地域では、高まる需要にどのように対応していくか、策を練っている状態です。