08.山彦日記  5月1日

「山笑う」
春をあらわす季語である。山里の春は梅から始まり 桃 桜の花々、そして5月は山の緑の
季節である。山の木々が一斉に芽吹き、それはそれは美しい。

花の色がさまざまなように木々の新芽の色も薄い緑 黄緑 白っぽい緑 紫がかった色
青緑 などなど 山彦には言い表せないほどの色で山が萌えている。
さらに山藤や葵の花々が色を添える。

冬の間凍えていた山が太陽の暖かい日を浴びて背伸びをしているようにみえ、山全体が
モコモコと盛り上がりそのさまに山の力強い生命力を感じる。
山彦はこの時期が山里の一番美しい季節だと思う。

しかし最近そんな山々に竹の侵食が著しくみてとれる。ほとんどが「孟宗竹」であろう。
その繁茂力はすさまじく、四方に地下茎を伸ばし 1年もしないうちに、周りの木より高く
成長する。竹に覆いかぶされた木々は陽の光がさえぎられ、いずれ枯れてしまう。猛々しい
ほどの勢いで山をのみこんでしまうのだ。とても悲しい…

だから山彦は竹と戦う。毎週末山彦は腰に鉈(ナタ)とのこぎりを携えて、山に入る。
成長した竹は非力な山彦には歯がたたないが、この時期の竹の子やまだ硬くなっていない
竹なら倒すことができる。

山は広い。切っても切っても次々と竹は出てくる。山彦ができる範囲はほんのわずか
だが、それでも山彦は山に行く。

「笑う山々」を見たいがために