05.検査業務について (大腸菌)

検査室では、製品の微生物検査で調べる衛生指標菌といわれる一般性菌数、大腸菌群のほかにこんな菌も調べています。

製造工程ラインが衛生的かどうか、製造に携わる人の手がちゃんと洗われて、衛生的な手で仕事をしている。その確認として拭き取り検査で大腸菌も調べています。(前回は大腸菌群)

大腸菌(だいちょうきん)
大腸菌群の中で、44.5℃の培養温度で乳糖を分解してガスを発生するものを糞便系大腸菌(ふんべんけいだいちょうきん)と呼びます。

大腸菌は腸内細菌で温血動物(鳥類、哺乳類)の腸管内(ちょうかんない)特に大腸に生息しているごく普通の細菌です。腸管内にあるときは、無害(むがい)な細菌で、色々な微生物の中でも、大腸菌は人体に影響がなく、人間と共存できる菌です。成人糞便中1gの中に千万から百億個存在します。便の70%以上が大腸菌です。

大腸菌はそれぞれ特徴によって「株」と呼ばれる群に分類することができ,それぞれ異なる動物の腸内にはそれぞれの株の大腸菌が生息しています。環境水を汚染している糞便が人間から出たものか、鳥類から出たものかを判別することもできます。

大腸菌は非常に多数の株がありますが、ごくわずかですがその中には、ヒトに下痢、腹痛などといった病気を起こします。このような、胃腸炎を起こす大腸菌を“病原大腸菌”あるいは下痢原性大腸菌と呼んでいます。病原大腸菌は大規模な食中毒などの集団発生事例をしばしば起こしていて、危険性の高い病原菌です。

役立つ菌、大腸菌!!
大腸菌は遺伝子を組み込んで有用な科学部質の生産にも利用されています。大腸菌の遺伝子DNAに他のDNAを混ぜると大腸菌はそのままDNA取り込んで、組みかえられたDNAもそのまま増殖クローンしてくれます。大腸菌の増殖速度は速く、30分で2倍に増え10時間後には約100万倍、20時間後には約1兆倍に増えます。
この特性を利用してたくさんの薬が作り出されています。糖尿病の治療に使われるインシュリン、抗ウイルス薬インターフェロンもこの方法で作られています。

大腸菌は怖い菌だけでなく、人にとっては無くてはならない、役に立つ菌でもあるのです。大腸菌がこの世から無くなってしまったら、たくさんの薬が作れなくなってしまうという、危険な状態になってしまうのです。

参考資料:食品衛生検査指針
『バイオを支える大腸菌』理科好き子供広場より