07.新人見原の奮闘記!

削り節の製造工程の紹介の途中ではありますが、平成23年6月7日に焼津鰹節伝統技能研鑽会(けんさんかい)に参加したときの様子を紹介します。

この伝統技能研鑽会というのは、鰹節づくりが時代の流れに沿って機械化されているなかで、焼津市で育まれてきた鰹節製造法が失われてきている現在において、ベテランの職人が鰹節づくりの後継者となりうる若い人たちに技術を継承するという目的で開催されています。

なお、この研鑽会のなかで製造した鰹節(枯れ節)は11月に皇居にて行われる新嘗祭(にいなめさい)のときに献上されます。新嘗祭というのは天皇陛下がその年にとれた新米やお酒を神々に供えて、さらに自らも食すという儀式のことです。そんな重要な鰹節づくりにかかわってきました。

当日の天候は曇りでした。わたしは「生の鰹を切る」ということにかなり緊張していました。というのも、わたしは小・中学校の家庭科以外で料理をした事がほとんど無いからです。当然、包丁もほとんど使ったことがありません。そんな私をよそに、定刻に研鑽会は開会しました。

最初に取り組んだことは「包丁の研ぎ」です。ベテランの職人の方々(以下、先生)が研いでいるのを、生徒は見せていただきます。先生が包丁を研いでいる姿は、物静かで、姿勢が良く、かっこいいと思いました。道具の手入れから一日の仕事を始める姿はまさに職人でした。

続いて生徒も研がせてもらったのですが、みんなぎこちなく、リズムもバラバラで、先生との差は明確でした。この一日のうち、常に感じることになる『職人の技』のすばらしさを感じた最初の瞬間でした。

包丁を研いだ後は、鰹の「生切り」です。先生は生徒にコツを教えながら、スムーズに鰹をおろしていきます。先生の説明を聞いているといつの間にか一匹切り終えているという感じです。

先生の作業を見て、よいイメージが固まってきたので、つぎは私が切る番になりました。生の鰹を持ち上げるところから、ハラハラドキドキしてしまいました。かなりの緊張感のなか頭を落とすことからはじめます。先生がお手本を示してくれた通りに包丁を入れます。

『あれっ!!』

私が頭を落とそうと思って包丁に力を入れても、鰹の頭が少し傷ついただけでした。先生の動きを見てから、同じように切ったのですが、まったく違う結果でした。職人の技とは難しいことを簡単に正確に実行することであると改めて感じました。

《次号に続く》