01.今月のお勧めの本の紹介

一夢庵風流記
隆 慶一郎 著    新潮文庫

この本の登場人物である前田慶次郎は、数年前まであまり知られていませんでした。よく耳にするようになったのは、遊戯ホールの機種としてテレビCMなどで登場した事が大きいのかもしれません。私がこの人物を知る事が出来たのも、上記の様な影響でした。

前田慶次郎と聞けばやはり「傾奇者」が代名詞の人物です。慶次郎が生きた戦国末期には、人とは違う価値観で派手な衣装を着、人とは違う行動をしたり、人より目立つことを目的とした傾奇者は多く居たようですが、なぜ慶次郎だけが後世に名を残すほどになったのかは、彼の清清しい生き方にありました。

慶次郎は学識溢れる風流人でありながら、剛毅ないくさ人であり、しかも風のように自由なさすらい人だった。したたかで、しかも優しく、何よりも生きるに値する人間であるためには何が必要であるかを、人間を人間たらしめている条件を、よく承知している男だった。(作中より)

作中の慶次郎はいつも敗者の側にいます。敗者の記録は勝者によって捨てられのが常ですが、敗者に属していながら名を残すのは本当に優れた人物である証拠ではないでしょうか。
もしタイムマシーンに乗る機会が有れば、ぜひ会ってみたい人物です。