01.お勧めの1冊

《第三の時効》  横山秀夫著  集英社文庫

時効、特に刑事事件上の時効を公訴時効と言い、犯罪が終わった時から一定期間を過ぎると公訴ができなくなる事です。以後簡略化し「時効」と言います。

殺人罪の時効は現在は廃止されましたが本書が書かれた当時は15年でした。つまり殺人を犯しても15年過ぎればそれを告白しても、民事上や道徳上は別にして刑事事件として罪に問われません。

ただし犯人が海外にいる間は時効が停止します。海外に5年いたとしたら20年過ぎないと時効は成立しません。これを法律用語ではありませんが、本書内で「第2の時効」と呼びます。ただこの事はよく知られていて犯人も注意します。

しかし、「第3の時効」があったのです。しかも警察自らそれを作り出せるのです。F県警捜査一課の楠見はそれを使い犯人を追い詰めていきます。公安出身の楠見の冷血漢ぶりが際立ちます。そして、あっ、そういう手があったのかと思った直後にもう一度ひっくり返されました。