01.お勧めの1冊

《シャイロックの子供たち 池井戸潤著》
文春文庫

某都銀の支店が舞台の短編の連作(同一の舞台で1話毎主役と脇役が入替わる展開)です。

成績不振で辞めていく行員が主役の第1話に脇役で登場する成績トップの行員は、9話では主役として自分の犯した不正を激しく悔やみながら最後の家族との団欒を過ごします。彼を破滅に導いたものは何だったのでしょうか。

私は企業小説が好きです。談合に悩む建設会社営業マン、クレームに右往左往するお客様相談室員等々、中でも多読したのは自分が15年間身を置いた銀行業界ものです。

過酷なノルマ、業績しか頭にない上司、現金事故発生時の疲労感、本書で描写される行員の姿は少し極端な部分もありますが、かなりリアルで登場人物の気持ちに感情移入してしまいました。

島耕作のようなスーパービジネスマンではない、普通のサラリーマンが悩みながらも頑張る、共感できる企業小説をあなたも見つけてみませんか。