01.お勧めの1冊

≪熱球≫
重松清  新潮文庫

物語は38歳の主人公ヨージが東京の会社を辞めて、故郷に帰るところから始まります。20年前ヨージは故郷で有数の公立進学校の弱小野球部で「甲子園常連校瀬戸学園の控え投手の牽制球より遅いストレートを投げるエースでした。

弱小野球部は奇跡的に勝ち進み初の県大会決勝戦に進出しました。しかし甲子園を目前に、ある不祥事で決勝戦を辞退、町の英雄から一夜にして町の恥さらしに転落したのです。

そんな地元に残ったのは高校教師になったジンブー、(潰れそうな)レストランのオーナーになったカメ、そして不祥事の当事者で野球部のアイドル的存在だったマネージャーの恭子が数年前に帰ってきました。ヨージと彼らとの交流がぎこちなく再開されます。

就職、失業、住宅ローン、子供の教育と大人の事情にまみれると、中高生時代の夢や希望も忘れがちになります。後ろ向きという意味でなくその頃を思い出させる作品でした。