01.お勧めの1冊

≪蒼き海狼≫
火坂雅志  小学館文庫

2度の元寇を何とか防いだ鎌倉幕府は3度目に備え、元に潜入し内情を探る危険な役目を命じます。命じられたのは海の民朝比奈蒼次郎。

中盤までは元国内で船の造船数や日本遠征の時期を掴み無事帰国するも幕府の手先になる事を嫌い、後半は現在のベトナムに渡り共に戦います。

彼の活躍は心躍りますが、印象深いのは彼が元国内で陥る危機を何度も救う漢民族です。滅ぼされた南宋の遺臣にも「誇りより生きる事が大事」と家来になる者もいれば、「心まで元に屈した訳ではない。」と地下に潜り抵抗活動をする者もいます。元に処刑された南宋高官の夫人で蒼次郎の危機を救った朱微琴が後日蒙古兵に隠れ家を急襲され惨殺された下りは心が痛みました。

日本史視点では2度九州を襲われたものの暴風雨により助かったのですが、世界史視点では漢民族国家がモンゴルの騎馬民族に滅ぼされたのです。他民族国家の支配下でも誇りを持ち続けた人々が強く印象に残りました。