03.FAD(浮魚礁)操業の規制

前号では、鰹節用のカツオ漁で最も適したFAD(浮魚礁)操業についてお話してきましたが、今号ではFAD操業の規制について書かせていただきます。

人工的な漂流物や海底に固定された物体、FADに集まった魚の群れは動きが遅い為漁獲しやすいのですが、小型魚等の混獲が多く、メバチマグロの幼魚が一緒に捕獲される問題が出てきました。カツオの資源は余裕がありますが、メバチマグロ資源は過剰に漁獲している状況にあります。

その対策として、FAD操業を禁止する期間を定めてメバチマグロの乱獲を抑制しようという取り決めをしました。本年度は7月~10月が規制対象になります。

この規制期間は素群れ漁(すなむれりょう)が中心となりますが、素群はエサを追いかけて移動している魚群の為、群れの動きが速く漁獲しにくいという特徴がある反面、大型魚中心で構成されメバチの混獲がほとんどありません。

この素群操業で漁獲されるカツオはFAD操業で漁獲されるカツオに比べ脂肪分が多く、カツオ節には適していません。FADに集まるカツオはエサをあまり食べておらず脂が少なく、素群れはエサを追っている群れで脂があると言われています。

脂が多いカツオを鰹節にすると、美味しいですが、脂が酸化しやすく変色、風味の劣化が早まります。また、ダシが濁りやすくカツオ節には向いていません。

このような事から、FAD操業の規制は、漁獲量が減少するための魚価の変動と、かつおの魚質の面で影響を与えています。
日本におきましては、この規制を遵守する事はもちろん、FAD操業禁止期間以外でも素群れ操業を行うことを増加させており、2010年、2011年の全体操業に占める素群れ操業の比率は、80~85%前後にまで高まっています。

他国においては、操業隻数の増加に加え、禁止期間以外の期間にFAD操業を集中的に行うなどから、年間を通じてのメバチマグロの漁獲量、FADの使用回数共にむしろ増加しています。

今後FAD操業を行う各国が、前向きにメバチマグロの資源保護に取り組んでいかない限りは、FAD操業規制はますます厳しい物になり、上質のカツオ節が今よりも手に入りにくくなっていく事が予想されます。

参考資料:水産振興