06.食品調味について

苦味

苦味はいうまでもなく苦い味です。

「苦虫をかみつぶしたよう」とか苦言とか「興も醒めて事苦くなりぬ」などというように、苦いという言葉は、本来の舌に快くない味を感じることから、面白くない、苦しいことに転じて、また苦い経験などのようにつらい、苦しいことの意味に用いられています。

一方で「苦みばしったいい男」などというときは顔が引き締まってて凛々しいさまであることを示しています。実際に苦味はそのままでは決してよい味ではありませんが、味に複雑さを持たせる点で重要な意義を持っています。

いわば「苦みばしったいい男」というような感じを食品に与えています。例えば、コーヒーやココアの苦味、チョコレートの苦味、あるいは日本茶の味などは苦味を除外しては考えられないものなのです。

ビールにはホップの苦味が必要ですし、火酒キュンメルにはオランダゼリの種子が使われていて、アブサンにニガヨモギが用いられたりするのもそれらの苦味が利用されているからです。

種々の苦味物質

苦味をもっている物質は数多くあって、なかには猛アルカロイドのような猛毒のものもあります。私たちが苦味を好まないのは、この種の毒物に対する警戒の意味があると思われます。

苦味物質の閾値は極めて低くて、硫酸キニーネ0.000008(モル濃度)、塩酸キニーネ0.00003、塩酸ストリキニーネ0.0000016、カフェイン0.0007、テオブロミン0.005、硫酸マグネシウム0.0046、となっています。

有用な苦味物質としては、茶やコーヒーの苦味のカフェイン、ココアやチョコレートのテオブロミン、ナツミカンやグレープフルーツのナリンジン、ビールのホップなどがあげられます。

ホップ中の苦味成分はフムロンとルプロンです。コーラタイプの飲料にはカフェインを添加しています。胆汁に含まれる胆汁酸も苦味があります。

レバーや魚のはらわたの苦さにはこれに由来しています。無機質ではカルシウム、マグネシウムの塩は苦味を持ちます。例えば、その名のとおりのにがりの主成分は塩化マグネシウムです。

苦味には酸味を引き立たせる効果があります。苦味は一般に温度が低い方がよく感じられて、酸味などは温度が高い方が強く感じられます。ビールの冷やし方について、6~8℃くらいが飲む適温だと言われているのは、ビールの味として最もバランスが良い温度だということなのです。
参考資料;食品調味の知識より