01.お勧めの1冊

≪秀吉の枷≫
加藤 廣  文春文庫

戦国時代最大の事件は本能寺の変か関ヶ原の戦いでしょう。関ヶ原は徳川家康が豊臣秀吉を倒したものではなく、秀吉没後のいわば後継者決定の戦いですから、そういう意味では時の権力者小田信長が直接倒された本能寺の変が合戦の規模は別にして、衝撃度はより大きかったのではないでしょうか。

それだけに、数々の疑問や黒幕説も囁かれています。なぜ信長は極少数の部下しか連れていなかったのか、毛利氏
と対峙していた秀吉が余りにも素早く引き返せたのは不自然だ等等。

本書では、京都の定宿本能寺には裏に抜穴を設けてあり、だから敵に急襲(襲ったのは部下の明智光秀でしたが)されても脱出できるという信長の油断があったこと、その抜穴を事前に知った秀吉が密かに塞いでいたという設定です。

信長、秀吉、家康については描かれ尽くされた感がありますが、天下獲りに疾走している最中、夢枕に信長の亡霊が現れ、恐れおののく秀吉像は興味深いものがありました。