06.食品調味について

うま味
前回に引き続き、グルタミン酸について

L-グルタミン酸ナトリウムと他の呈味成分、しおから味、酸味、甘味、苦味、うま味との関係は次のとおりとなります。しおから味・・・しおから味を緩和して、共同作用によって食物の味を強める作用があります。

酸味・・・酸味を緩和する作用があります。甘味・・・複雑なコクを出す作用があります。苦味・・・苦味を減少させる作用があります。
うま味・・・イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウムなどの、うま味をもつヌクレオチドとの間に味覚上の相乗作用があって、うま味を増大させます。一般にグルタミン酸ナトリウムは食品がもつ自然の風味を引き出す作用があるといわれています(風味高揚説)。

合成酒やブドウ酒に閾値以下の量(0.015~0.03%)使用しても、非常に有効であるのもその一例となります。L-グルタミン酸はほとんどすべての動植物食品に含まれていて、各食品の基本的呈味物質となっていることは間違いありません。

イノシン酸

イノシン酸は1847年にドイツのリービッヒ(Liebig)によって牛肉エキスから分離されました。その後、1895年にその化学構造も判明しました。

イノシン酸の呈味性についてはグルタミン酸のうま味の発見者である前述の池田教授の高弟にあたる小玉新太郎博士が1913年に、かつおぶしエキスの研究から発見しました。

グルタミン酸のうま味が見出されてから5年後のことです。当時の小玉博士の研究では、イノシン酸とともに大量のヒスチジンが、かつおぶしエキスから見出され、そのため同博士は、かつおぶしのうま味はイノシン酸のヒスチジン塩であると提唱しました。

しかし、この点についてはかつおぶしのうま味にはイノシン酸のみが関与していて、とくにヒスチジンによってイノシン酸の呈味性が高められるものではないことが確認されています。

グルタミン酸は、呈味性が発見されてからまもなく工業的に製造されるようになったのに対して、イノシン酸はその呈味性の発見以後、数十年間工業的製造については省みられませんでした。

これはイノシン酸がグルタミン酸に比べてかなり複雑な構造をもち、工業的につくりにくかったこと、それにイノシン酸単独ではかなり濃度を高くしても呈味力が少ないことなどによると思われます。
参考資料;食品調味の知識より