01.お勧めの1冊

≪流星 お市の方 上下 ≫
永井路子    文春文庫

先月紹介した清洲会議で秀吉は地位や領地は得られても、どうしても得られないものがありました。それが信長の妹お市の方の心でした。

彼女は前夫浅井長政の敗死により、落城した小谷城から3人の娘と共に救い出され、当時清洲に住んでいました。落城したら皆殺しとか妻は夫に殉ずるというのは戦国時代の誤ったイメージで、女性は実家に返されるのが仕来りでした。しかし男子はそうはいかず、お市の長男は信長の命令とはいえ秀吉に処刑されたのです。彼女は秀吉を憎しみ抜きます。

しかも彼女はこの清洲会議で秀吉の、織田に取って代るという野望を見抜いています。彼女は織田家を守るため、当時としては既に老人といえる、しかし忠義一筋の柴田勝家に嫁ぎ、秀吉に対抗したのです。

だからこそ、勝家が秀吉に敗れ自決する時、前述の様に女性は助かるにも拘わらず3人の娘のみを助け、自分は死を選んだのでした。後年、長女である茶々が秀吉の側室になるとは夢にも思わなかったでしょう。