06.食品調味について

うま味

前回に引き続き、イノシン酸について

昭和34~35年にヤマサ醤油㈱の国中明や味の素㈱の池田らが、イノシン酸はグルタミン酸と相乗的な調味効果のあることを発表してから、イノシン酸は再び注目を集めて、その製造研究も飛躍的に進歩して、イノシン酸も新しく化学調味料の仲間に加わりました。

天然物中のイノシン酸の分布について、カツオ、かつおぶし、サバ、カタクチイワシなどにはイノシン酸が多いが、グチ、スルメなどの白身の魚肉にはイノシン酸は少ないようです。

干ダラ、アワビなどにはイノシン酸は含まれていません。植物性の食品にもイノシン酸はほとんど含まれていません。グルタミン酸は、ほとんどすべての食品に普遍的に分布して各食品の呈味の基調になっていますが、どちらかといえば動物性食品よりも植物性食品に含有量が多く、くせのない植物性のうま味といえます。

これに対してイノシン酸は、その分布がほとんど動物性食品に限られていることから、動物性のうま味といえるようです。イノシン酸はヒポキサンチンとリボースとリン酸が結合したものですが、一般にヌクレオチド類がうま味を発現するためには、次の二つの条件を満たすことが必要であるといわれています。

①プリン塩基の6の位置の炭素原子に水酸基がついていること。②リボースの5’の位置の炭素原子にリン酸基がついていること。
例えば、イノシン酸にはリボースにリン酸基のつく位置によって2’-、3’-および5’-イノシン酸の3種類の異性体がありますが、このうちうま味をもっているのは5’-イノシン酸のみとなります。またイノシン酸のプリン塩基の6の位置の炭素原子に水酸基の代わりにアミノ基がついているアデニル酸にはうま味がありますが非常に弱いものです。

イノシン酸ナトリウムの閾値は0.025%で、グルタミン酸ナトリウムの閾値(0.03%)にほぼ等しい。グルタミン酸ナトリウムは濃度が高くなると比例的に味の強さが増大しますが、イノシン酸ナトリウムは濃度が高くなってもほとんど呈味力の増加はありません。

しかし、イノシン酸ナトリウムはグルタミン酸ナトリウムとの共存下では強い呈味力を発揮します。これはイノシン酸とグルタミン酸との相乗作用とよばれるもので、コンブのだしと、かつおぶしのだしを併用していたのはこの相乗作用が利用されていたわけなのです。

参考資料;食品調味の知識より