01.お勧めの1冊

借金取りの王子
垣根涼介  新潮文庫

企業に要請されリストラを代行するロクデナシな会社に勤める村上真介が本書の主人公、というより舞台回しの役で本当の主人公はリストラされる側の人間でしょう。

借金取りの王子とはその中の1人で、慶応大卒の消費者金融社員です。彼は店長降格ラインをぎりぎりでクリアして合法的には処分できない所を見せしめにされたのです。

降格ラインとはいえ主要店を任される程の彼は他業界への転職も可能と思えますが、村上との面接で頑強に退職を拒みます。

それは妻を守るためでした。妻は彼が新入社員の時の店長で、王子とあだ名をつけた元ヤンの女性(当業界は実績さえ上げれば経歴不問)でした。

目標未達成の店長達が互いを罵倒する会議で、王子は営業部長に灰皿を投げつけられながらも彼女に対し沈黙を貫きました。灰を被った王子を見て彼女は彼を守れなかった事を悔やみ会社を去ります。その後展開する、育った環境の違いが余りに大きい2人の純愛にほろりとさせられました。