01.お勧めの1冊

陽だまりの偽り
長岡弘樹   双葉文庫

本書は5編からなる短編集で、その中の第3話「プレイヤー」を紹介します。市役所の出世争いが題材の短編です。

出世争いといえば半沢直樹に代表されるように銀行が格好の題材で、公務員なら財務省など中央省庁は小説の舞台になりそうですが、地方都市の市役所が舞台とは珍しくも身近に感じました。

市の財産を管理する管財課課長の崎本は、市民から市営駐車場6階の鉄柵がなくなっていると通報を受けますが応急措置をしただけで、その後担当者への指示を忘れてしまいました。

数日後なくなった鉄柵の隙間から人が転落し、死亡します。状況は自殺の可能性を物語っていますが、目撃者は過って落ちたと主張します。

自殺と過っての転落では柵の修繕を怠った者の責任の重さが天と地ほど違ってきます。目撃者の唐木は崎本の2年後輩の落ちこぼれで、出世争いのライバルどころではなく、個人的恨みも全くありません。なぜ崎本を陥れようとした のか…そこには暗い計算があったのでした。