01.お勧めの1冊

阪急電車
有川浩  幻冬舎文庫
宝塚駅から西宮北口までのわずか10キロ足らずの阪急今津線に乗り合わせた、見ず知らずの人達が束の間触れ合う物語です。

印象深いのが、後輩に婚約者を奪われた翔子が婚約不履行で訴えない条件として自分を招待させた結婚式に、ウェデイングドレスと見間違える純白のドレスを着て乗り込んだ帰り、そのドレスを着たまま電車に乗り好奇の目を集めている翔子に、「討ち入りは成功したの?」と話しかける時江の姿です。

彼女は孫もいる年輩女性ですが、分別顔で「自分が傷つくだけだからやめなさい。」などと言いません。彼女の言葉が恨みで固まった翔子の心を溶かしていきます。

ところで、気に入った小説が映画化されてイメージが違いがっかりした事はないですか。実はこの小説は先に映画を観て、いいなと思い原作を読んだのですが、どちらも心温まる良い後味でした。映画での時江役の宮本信子がいい味を出しています。映画と小説共にお勧めできる作品だと思います。