01.お勧めの1冊

虚けの舞
伊東 潤   講談社文庫
本能寺の変後、生残った信長の次男信雄と滅びた北条家の生残り氏規の豊臣政権下での生き方を描いています。2人の内やはり信雄の人生には強烈な悲哀を感じてしまいます。

織田、豊臣、徳川と引継がれた天下統一は、前政権の血筋をどう遇するかという問題がありました。徳川は豊臣を滅ぼし、秀吉の男系血筋を根絶やしにしました。

しかし豊臣にとっての前政権織田家は主家であり、そこまではできませんでした。信長の長男は父親と運命を共にしたので、本能寺以降秀吉は3男を信雄に攻めさせ自刃させた後、信雄を攻め破り出家させます。

天下人の地位を固めた後、許し御伽衆に加えますがそこでも自分の父親が「猿!」と呼んでいた秀吉に度々罵倒される信雄の屈辱はいかばかりだったでしょう。

滅びる美学の対極に屈辱に耐え血筋を残すという生き方があったのかもしれません。しかし織田の血は2代将軍秀忠の正室となり家光を生んだ信長の姪お江により徳川家の中に流れることとなったのでした。