01.お勧めの1冊

出署せず
安東能明  新潮文庫
本書は所轄の警務課課長代理柴崎を主人公とした警察小説の短編集です。その中から、「折れた刃」を紹介します。冒頭、着任早々署監察に呼び出された署長を柴崎が迎えにいくシーンから始まります。

署長が監察に呼ばれるといえば、署員の不祥事が定番ですが、その不祥事が「えっ、そんな事で」という内容なのでした。

銃刀法違反は刃体が、6センチ以上の刃物の所持でそれはカッターナイフも例外ではありません。6センチ未満になると軽犯罪法違反となり、取調べも大幅に簡略化されるそうです。

件の不祥事とは、巡査が職質で6センチ以上のカッターを所持した者を発見したのですが、上司が銃刀法違反にかからないように、カッターの刃を1枚折れと指示した事なのです。

この、見方によってはコントのような行為が1人の警察官の未来を暗転させます。民間企業の私達もコンプライアンス遵守を叫ばれる中、そんな事でとは言えないのですが、法律、規則でがんじがらめの警察官のリアルをみたようでした。