08.山彦日記  9月 犯人は誰だ!

「うっっつ。痛い!」
その攻撃は突然だった。いきなり目じりのあたりに、焼火箸を当てられたようなカッとする熱さと激痛が山彦を襲った。
敵は急に目の前に飛び出し、すぐさま姿を消した。まさしく一瞬の攻撃だった。

「やられた~。どうしてなんだ~この山彦を。しかも顔を、それも目を狙うなんて卑怯じゃないかあ」 山彦はあわてて家に逃げ込み、鏡を覗く。

「ほっ」良かった。血は出ていないし、今のところ外傷はないようだ。顔を洗い、痛みのある部分を水で冷やす。幸い痛みは次第に薄れてきた。

山彦は現場に戻ってにっくき犯人を捜す。怒っている山彦に恐れをなしたか、敵の姿はやはり見えない。
状況を説明しよう。

場所は山彦の庭というか、家の横の山裾で時間は暑い午前11時ころ。手に鎌を腰にノコギリと鉈(ナタ)を装着した山彦が滝のような汗をかき庭木にはびこるツルや草を刈っていた時である。

長袖に長ズボン、帽子をかぶって首にはタオルを、手はもちろん軍手で完全防備を図ったが、犯人は手薄な顔を狙ってきた。
みごとな電光石火の攻撃であった。しかし山彦は確かに見たぞ。山彦に襲いかかった「犯人」の黒い姿を…。犯人は「ハチ」だ!

何蜂かわからないが、山彦はその姿を確かに見た。痛いわけだよ。

もちろん田舎だから今までも家の周りや屋根裏に蜂が巣を作ったことはある。巣に出入りするハチにこちらも警戒し対策や駆除作戦もたてられたが、今回はいきなりだもんなぁ。

ところであと少しになった草刈りをどうしようか。「もう大丈夫だろう」と作業を再開した能天気な山彦。あっけなく2匹目のハチにまた瞼を刺され、翌朝はみごとな「お岩さん」状態になった。草刈の続きはいつにしようか…