03.近海一本釣り漁 擬餌鉤の秘密

先月号では、近海一本釣り漁での鰹の釣り方に付いてお話をさせて頂きました。

鰹が掛かると、竿を頭上に跳ね上げ、魚が回転すると空中で鰹と針が外れます。針を外された鰹は、船内のコンベアーに集められ、生きたまま保管庫に運ばれていきます。この針には、空中で鰹は外れる秘密と鰹をおびき寄せる秘密があるようです。

【擬餌針の“返し”】
鰹船から一本釣りで釣り上げられた鰹が、空中に跳ね上げられ、釣針から外れた後、空中を飛んでいる映像をテレビなどで見られた方もいると思います。

なんとも豪快な釣り方で、鰹漁と言えば、この映像を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。釣竿を頭上に跳ね上げ、鰹を針から外すこの漁法を「跳ね釣り」と呼びます。

跳ね釣りに使用される鰹針には“返し”と呼ばれる針先の突起がありません。この返しが無い事が、鰹が空中で外れる秘密なのです。

針先に“返し”が付いている理由は、一度食いついた魚が暴れても、針から外れにくくするためです。

一般の釣り人が、遊漁船などで釣りをするのには、せっかく掛かった魚を逃がさない為にも、釣り針の“返し”は重要です。しかし漁師が鰹漁をしている時は、この返しがあると掛かった魚が外れにくくなってしまいます。

漁師にとって、鰹の群れを一匹でも多く釣り上げる事が重要な事ですので、この返しがあるだけで、効率が悪くなってしまうのです。

【擬餌針の集魚力】
鰹の群れに活餌を投げて、鰹を船におびき寄せ、水面を激しく散水する事で鰹を興奮状態にする。もうこの状態で鰹は釣れやすくなったと感じますが、エサが付いていない針をただ投げ込んだとしても鰹は掛かりません。

ましては、一匹釣れる毎に針のエサを付け替えて投入するとなれば、なおさら効率が悪くなってしまいます。

そこで、登場したのが擬餌針です。

擬餌針とは、エサの色や形に似せて作った針の事です。

釣り針というと鉛色を思い浮かべる方も多いと思いますが、この針に鳥の毛を巻き付けて、水中でひらひらと上下させて見ると、針の部分が銀色にキラキラと輝き、イワシの腹が光っている様に見えます。

又、鳥の毛を巻き付けた事で、水中で上下させると毛先の部分が海水を含みフワフワとなびきます。すると鰹は、イワシの尻尾の部分と勘違いして、食いつくと言われています。

実際に、鰹に聞いた訳ではないので、鰹からどの様に見えているか判りませんが、鰹が食いつく事を考えれば、とてもおいしそうに見えているのかも知れません。