06.食品調味について

味覚の諸現象

日常の食生活では、私たちは上述のような各種の呈味成分を単独で味わうことはありません。

普通は食物中に含まれている多数の呈味成分がつくる複雑な味を総合された形で感じて、これはうまいとか、うまくないとか言っているわけです。

この場合、2種類あるいはそれ以上の味を混合して味わったり、あるいは交互に味わったりするときには、後述のような対比現象とか、相乗効果とか、相殺効果とか、変調現象などがみられます。

これらの現象は調理の際に心得ておくと便利ですし、味覚検査の場合などには注意を要するものです。

  1. 対比

汁粉や大福餅を作るときに、砂糖をたくさん使うことは言うまでもありませんが、この場合、ごく少量の食塩を入れます。また、スイカに食塩をつけて食べる人が多いです。

砂糖の甘味は微量の食塩によって強められ、また、砂糖の15%溶液に0.001%のキニーネを入れると、それを添加しない対照の砂糖溶液よりも甘味が強く感じられます。

また、舌の一方にうすい食塩溶液をつけて、他方にごく薄い砂糖溶液をつけると、その砂糖の甘味が最低呈味濃度以下の濃度でも、甘味を感じます。

また、甘い溶液を味わった後では酸の溶液を特にすっぱく感じたり、食塩の溶液を特に塩辛く感じたりします。

普通、二つの刺激を同時に、あるいは相続いて与えるときに、片方の刺激の存在が他方の刺激の性質を強める現象を対比効果と呼んで、二つの刺激を同時に与えるときは同時対比、相続いて与えるときは継時対比といいます。

両手に異なった重さの重りをもって、次に同じ重さのおもりを持ってみると、先に軽いおもりを持った方の手が重さを強く感じるのは継時対比の例となります。

同一色の濃淡を配置したときに、濃いものはますます濃く、淡いものはますます淡く見えるのは濃淡の同時対比であって、はじめAの色をしばらく見て、次にBの色を見ると、B本来の色と変わって見えるものですが、これは色の継時対比の例になります。

このような対比効果は色合わせのときに注意しなければなりません。実際に食品を味わったり評価したりする場合、こういう味覚現象があることを念頭に置く必要があり、いくつかの食品を試食したり試飲して比較する場合には、食品ごとに十分うがいをして対比効果を可能な限り少なくして、比較を行わなければなりません。

参考資料;食品調味の知識より