01.お勧めの1冊

扉は閉ざされたまま

石持浅海 祥伝社文庫

推理小説、ミステリーの醍醐味は当然犯人探しやトリック崩しですが、別のスタイルに倒叙ミステリーがあります。これは冒頭に犯行シーンが描かれ、犯人もトリックも明らかにされます。その後の探偵役と犯人の攻防が醍醐味となるもので、TVドラマの古畑任三郎でおなじみのスタイルです。

本書は大学サークルの同窓会が開かれているペンションで伏見亮輔がかわいがっていた後輩を殺すシーンで始まります。上述のスタイルなので犯人も密室トリックも初めから読者に明かされておりネタバレではありません。犯人は事故死に見せかけるトリックを施しているのですが、それ以上にこだわっているのが死体発見までの時間です。何も1週間隠し通して死亡推定時刻を分からなくするという目的でなく、たった10時間経過させる事にこだわりました。そのための巧みな引き延ばし工作が展開されます。なぜ10時間なのでしょうか。そこには計り知れない動機があったのでした。