06.食品調味について

味覚の諸現象

2.変調現象
のどが渇いたときに飲む水は甘くうまく感じられます。濃い食塩水を味わった後に普通の水を飲むと甘く感じられます。同様に硫酸マグネシウムの溶液を飲んだ後、普通の水を飲むとこの場合もまた甘く感じられます。また正月などに経験することですが、スルメを食べたあとミカンを食べると苦く感じます。このように先にとったものの味が後に食べるものの味に質的な影響を与えることは良くあります。このような現象を変調現象と呼んでいます。対比現象も変調現象も、先に味わった味が後で味わう味に影響を与える現象ですが、対比現象は第2の味を強めたり弱めたりすることをいうのであって、変調現象は味の質そのものが変化するものです。対比現象と同様、この変調現象も多数のものの試食、試飲のときに配慮する必要があって、前に味わったものの影響を除くためにうがいをするなどの注意が必要となります。

3.相乗効果
昔からだしをとるとき、コンブとかつおぶしを併用するのが普通であって、グルタミン酸ナトリウムが市販されるようになってからは、かつおぶしか煮干しでだし汁をとり、それにグルタミン酸ナトリウムを加えるのが一般になっています。動物性だしにはイノシン酸が含まれていて、イノシン酸とグルタミン酸を併用するとそのうま味が著しく強くなることがわかってきました。昔からコンブとかつおぶしを併用したのは、このイノシン酸とグルタミン酸の相乗効果を利用していたわけです。相乗効果というのは、元来、薬理学の用語で、同じ症状に対して有効な2種類の医薬A,Bを併用する時、効果がAとBの和として期待されるよりもはるかに大きくなる場合のことで、協力作用とも呼ばれています。グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果は非常に顕著なもので、例えば、食塩1%溶液にグルタミン酸ナトリウムを0.02%加えたもの〔A〕、イノシン酸ナトリウムを0.02%加えたもの〔B〕はいずれも塩味のみでうま味は感じられません。しかし、〔A〕と〔B〕を同量混合すると、強いうま味〔A+B〕が出てきます。つまり次のように〔A〕+〔B〕<〔A+B〕なります。このうま味の相乗作用を積極的に利用したものが複合調味料です。

次回は相殺効果について

参考資料;食品調味の知識より