01.お勧めの1冊

カードウォッチャー
石持浅海  ハルキ文庫

行政が民間の検査に入るといえば、金融庁や国税庁(マルサ)などの印象が強いですが、本書は労働基準監督署が民間の研究所に臨検に入るというテーマとしては珍しいものでした。

労基署は労災調査を口実にサービス残業を暴く事を目的としていました。迎え撃つ研究所の総務課は労基署が到着する直前に、サービス残業の最も多い社員が倉庫で死亡しているのを発見します。過労死だと思い、これを隠す決定をします。そこで労基署対応の方針を変更しました。素直にサービス残業を認める対応から、わざとそれを隠す素振りをすることにしたのです。しかしそれはすぐに暴かれ、すると労基署は満足して帰る、本当に隠したい社員の死亡は隠せるという目論見です。う~ん、肉を斬らせて骨を断つでしょうか?労基署との対決は緊張感の中にもどこかユーモアを感じられるものでした。そして、その隠したかった社員の死亡原因は、何とも皮肉というか悲しいものだったのです。