06.食品調味について

味覚の諸現象

5.味をかえる物質
5.2ミラクルフルーツの活性物質
西アフリカ産の真っ赤な木の実で、長さは2~3cmでまゆのような形をしたもので、ミラクルフルーツと呼ばれているものがあります。アフリカ西海岸の原住民はすっぱいヤシ酒などを飲んだりする前に、この実を食べておきます。すると、不思議なことに、酸っぱいはずの酒が甘くなります。酒に限ったことではなくて、この実をしばらく口に含んでから、酸っぱいもの、例えばレモン、グレープフルーツ、イチゴなどを味わうと、すべて甘く感じられます。同様にクエン酸のような有機酸でも塩酸のような無機酸でも甘く感じられます。ミラクルフルーツの名はこの不思議な作用に由来しています。このミラクルフルーツ中の不思議な物質は種々の研究の結果、タンパク質であることが分かって、このタンパク質そのものは甘くなくて無味です。このタンパク質を3分間口に含んでから水で口をゆすいでも、3時間以上この不思議な効き目が残ります。酸味以外の甘味や塩味、苦味にはこの効果はありません。苦いものは苦いですし、甘いものがそれ以上に甘くなることはありません。この活性物質はミラクリンと名付けられています。

5.3チョウセンアザミ
チョウセンアザミは古くから、利尿、催淫剤として用いられてきたものですが、この作用の他に、この植物を食べた後、飲料を飲むと甘く感じられることが認められています。この物質の本体はクロロゲン酸とサイナリンのカリウム塩で、これらが水を甘く感じさせる作用をもっています。これらの物質を口に2分間含んだ後、水を味わうと甘く感じられます。このチョウセンアザミの抽出物の2.75%溶液10mlを口に含んだ後、水を味わうと、その甘味は茶さじ2杯の砂糖を6オンスの水に溶かしたもの、すなわち砂糖の約5.5%溶液の甘味に相当するといわれています。

参考資料;食品調味の知識より