08.山彦日記  1月 こたつ

山彦は田舎に住んでいる。田舎にもお正月が来た。田舎のお正月はにぎやかでいい。ふだん老人しかいない村にも子供(現大人)たちが里帰りして、そのまた子供(本当の子供)も連れているので村の平均年齢が急に若返ったかの感がする。

寒い冬 人が集まるときはやはり「こたつ」だよね。それも掘りこたつが最高さ。といっても実はずいぶん前から山彦家ではこたつを使っていない。

山彦が子供の時は大活躍。朝晩の冷え込みが感じられる時期 父は部屋の真ん中の畳を上げ、その下板を外すと掘りごたつのくぼみが現れる。こたつのやぐら,足をおく木製のすのこ等々納屋から運び出し、半畳の畳をはめる。長い間押し入れにしまわれたこたつ布団は日に当てないとちとつらい。上天板をおいて完成。

当時の熱源は「木炭」。夕方おばあちゃんが夕食の支度のついでに火をおこして、堀りこたつの底にセットする。電気のように温度調整ができないので灰をかぶせたり、炭を足したりして適温をさぐる。

堀こたつは足をのばせるので、長い時間はいっていても足や腰が痛くならずすこぶる快適。気持ち良すぎて子供山彦はこたつからでるのがいやでいやで。誰かトイレにでも行こうものなら「みかん持ってきて」「カバン持ってきて」「本を取ってきて」矢継ぎ早に頼んだものだった。

今年の春 たたみ替えをしたついで掘りこたつをリフォームしようと下板をはずしてみた。それは予想外にみすぼらしかったが大きかった。ここに家族全員7名が体を寄せ合ったのかと思うと感慨深い。結局 今もこたつは使っていない。貧乏暇なしの山彦はちんまりと座っている時間もないし、こたつに入りっぱなしの愚息から「みかん持ってきて」「新聞も」などといわれるのが想像されることも若干あるのだ。歴史はきっと繰り返す。