03.カツオ漁船に影響を与えるカツオの習性について

カツオ漁船はカツオの群れと出会うために、その経験からカツオの習性を理解し、状況を判断し、その習性を利用して、群れの居場所や進行方向を予測していきます。

【海水の水温と水質について】
カツオは水温や水質にも敏感です。水温が1℃でも変化したり水の色が少しでも濁ったりすると、カツオは進路を大きく変更します。カツオはサバ類やマグロ類に比べても、水温に弱く、水温15℃以下の海域に進入することはほとんどありません。それにカツオは濁った水を嫌う習性もあります。例えば、河川からの濁った水が海に広く拡散すると、群れは大きく移動します。南西諸島の島嶼海域に住み着いたカツオでさえも、河川の濁水でその島を離れることもあります。また、伊豆諸島を北上するカツオは利根川の濁水を避けて進行方向を転換する行動も見られます。

【カツオの群れとしての習性】
群れを作る魚類は相互に統制し合う行動をとるのが一般的です。カツオの群れの場合、そうした習性がより明確で、先頭を泳ぐカツオに群れ全体が整然と追従することが多いです。回遊している群れは小さいカツオが前方に、大型のカツオが後方に位置します。漁船が群れを見つけても、先頭を泳ぐカツオが深く潜っていってしまうと、群れ全体が瞬時にいなくなることも良くあります。そのため、先頭を泳ぐカツオに良く注意を払う必要があります。

【仲間意識の強いカツオ群】
カツオは仲間意識が強く、同じカツオ類のみで群れを形成することが多いです。クジラやジンベイザメに寄り付く習性はあるものの、他の種類の魚の行動に影響を受けたり、追従することはあまりありません。また、カツオの群れは仲間の一匹が傷ついただけで警戒し、深く潜ってしまうことが良くあります。そのため、一匹のカツオを釣りそこなって海中へ落下させてしまうと、群れ全体が漁船周辺から消えてしまうことが良くあります。これは警戒心の強いカツオの特性でもあり、カツオ船にとってはせっかくのカツオの群れを逃すことにならないように注意を払う必要があります。

【カツオの天敵】
カツオは警戒心が強く、天敵であるメカジキやクロカワカジキなどのカジキ類に関しては、特に強い恐怖心を持ちます。群れはカジキ類の存在に気づくと、海の深いところへ沈下したり、暗礁に回り込んで隠れたり、ジンベイザメの腹部に寄り付いたりします。そして、カツオは極度の恐怖感を感じると、3日も餌に食いつかなくなることもありますので、カツオ船による漁に影響をすることがあります。 

参考資料:カツオの産業と文化