01.おすすめの一冊

64(ロクヨン)

横山 秀夫   文春文庫

 

D県警の警務部(人事や広報等の管理部門)は他の多くの地方警察と同じで、トップの警務部長ポストはキャリア組の指定席でした。警察庁からの出向者がより偉くなるために数年を過ごす通過地点です。一方、地元県民の生命財産を守る刑事部のトップ、刑事部長ポストは、地元採用ノンキャリアが辿り着ける最高峰として、地元組のシンボル的存在です。

そんな組織内で警務部は、64という隠語で呼ばれる未解決誘拐殺人事件とマスコミを利用し、刑事部の支配を画策します。マスコミ対策の責任者である三上は今でこそ警務部に属する広報官ですが、警察人生の大半を刑事として過ごしてきた人物です。警務部からは刑事部のスパイと疑われ、刑事部からは裏切り者と言われ、しかも警務部の真の目的は隠されていました。更に情報漏れから刑事部が反撃に出て組織は混乱を極めました。結果的に警務部の画策は打砕かれます。しかしその原因は内輪の対立なんかではなく、もっと切実なものでした・・・