01.おすすめの一冊

東京すみっこごはん

成田 名璃子   光文社文庫

 

学校でいじめに遭っている女子高生の楓は、家族に心配されるのが煩わしく友達と約束があると嘘をついて夕飯時に出かけた商店街の路地裏で、「共同台所 すみっこごはん」という変な看板をみつけました。しかも「素人がつくるので、まずい時もあります。」とまで書いてあるのです。しかし空腹に負けて恐る恐る入ってみると、そこは定食屋ではなく、集まった人がくじを引き当たった人がその日の料理を作りみんなでそれを食べるといったコミュミティーでした。古いレシピノートが置いてあり、その通りに作るのですが人によって出来不出来が随分と違うものです。楓をはじめ、ここに集まる人達、料理が下手なOL、日本で頑張る理由を見失ったタイ人留学生、妻に秘密であるブログを読み続ける公務員などの日常や悩みが連作で描かれています。

ここに集まる人達も、この共同台所が始まった経緯を知りません。古いレシピは誰が何を伝えたいと思い、残したものなのでしょうか。