08.山彦日記

山彦は田舎に住んでいる。田舎に住んでいると世の中の常識にうとくなることが多々ある。だからであろうか、世間の会話で耳に引っかかるというか、気になることが多くてたまらない。非常識のそしりを受けるのを覚悟の上で思い切って、かつためらいつつこっそりと述べたい。

たとえばレストランで「注文は以上でよろしかったでしょうか」

山彦(おいおい今注文したところだよ。いきなりもう過去の注文になっちゃのかい)

「こちらが当店自慢のスパゲッティになります」なんていう日本語にも違和感を覚える山彦。

(目の前にすでにあなた方が作ったスパゲッティはあるのだけれど。)

(これは今スパゲッティじゃないのか?)

(正しくは「スパゲッティです」お上品に言うなら「スパゲッティでございます」だろ)

たとえば歌番組で歌手、特に演歌歌手が「〇〇を歌わさせていただきます」

山彦(〇〇を歌います。でいいじゃん。舌かみそう)

司会のアナウンサーが「司会をさせていただきます△△です」

山彦(「司会の△△です」のほうがイヤミがないよ)とテレビの前で毒づく。

ついでにもう一つ、この頃見かける「患者様」

山彦(漢字に「様」をつけるとくどいし、無理している印象なんだけどさあ…)

(この勢いで行くとそのうち「御患者様」とか言い出したりして)

ちょうど帰省中の愚息にこんなあれこれをつぶやいたら、愚息曰く

「それはね、年をとったからだよ。言葉は変わっていくんだよ」

う~ん。それはあるなあ。田舎で年寄りばかりと話していたら、ことばは確かに変わらない。

さらに続く愚息の言葉は無視しよう。「年とると人間丸くなるって言うけどねえ」