01.おすすめの一冊

6 シックス
早見和真  集英社文庫
 

 東京6大学リーグに属する大学から各1人、6人の青春小説です。元甲子園球児が大学で挫折して選手を諦めた法大生、就活に苦しむ明大生など、全員が野球部員とは限りませんが、私が印象深かったのは東大の補欠投手、深町の章です。この章でへぇと思ったのが、東大野球部のメンタリティです。彼らは最高学府の学生という誇りではなく、リーグ戦で何十連敗もする劣等感の中で生きているというのです。以前、進学校の野球部員が「早稲田や法政でレギュラーは難しいので東大にしました。」と答えているインタビュー記事を読み、「東大に入るのは難しくないんかい。」と心の中で突っ込んだ事がありますが、彼らの目的は野球で活躍する事で東大に入る事は手段に過ぎないようです。深町も理不尽な上下関係が嫌で高校野球部をやめた後、6章の主人公で本書全体のキーマンの星が甲子園で優勝するのを見て、再度野球を始める決意をしました。東大進学後の野球への取り組み方には鬼気迫るものがありました。