08.山彦日記

正月である。毎年頭に一応「今年の抱負」なるものを家族と話し合う。「断捨離をする。」とか「新しい趣味を探す」とか目標を立てて新しい年を迎える気構えを作ってきた。といっても情けないのだが、実行実現することなく2週間もすればそれさえも忘れることを繰り返してきた。何のことはないおせち料理や雑煮みたいなもので一連のお正月の話題のひとつとなり、お粗末なものである。最近は愚息もその話にはのってこない。そんないい加減な山彦だが、今年はいつになく真剣だ。今年の目標は山彦のなわばりに「名所を作る」というものである。
昨秋、とある名刹へふらり寄った。タイミングが良かったのであろう。お庭の紅葉にしばし向き合い、穏やかな時間を過ごすことができた。今どきの言葉でいえば「神っている」感覚に浸ったのであった。
そのお庭のすべての葉が同じ様相ではなく、深い朱色の中に橙色黄色、わずかではあるがまだ緑を残している枝もある。苔むした土にも数枚の落ち葉がちりばめられている。日本庭園に特徴的な奥面がせりあがったゆるやかなすり鉢状の縁辺を有し、木々や枝が幾重にも重なりあって向き合っている山彦たちを包みこむようではないか。
木々には何の意思もなくそこに植えられ根付き、人がそこに居てもいなくても冬が近づくことにより葉の色を鮮やかに変えて、きっとそののち落葉する。たまたま私たちがそれを目撃し、虜にさせられた。限られた時間ではあったが、あの場での感覚は思わず口をつぐんでしまうような胸に迫るものがあった。
そんな思いを反芻していたら、我らが長老が何気なく「山彦の山にもモミジを植えたらどうか」というのである。「おおー そうだ!」山彦はその考えに飛びついたのだ。1年2年でできる話ではない。今年の目標は、いや今後10年の目標はこれで行こう。それから~…
「あっ夢か」夢の中で考え疲れて目が覚めた。こんな初夢だが正夢になるよう今年もやるぞ!