06.鰹節のお話

こんにちは。
だしが濁るのは、節中の中性脂質やリン脂質が要因として知られております。実は、だしとり用水(以下抽出水と表記)のpH(ペーハー)にも関係しています。
pH(ペーハー)は、酸性・アルカリ性の度合い(強さ)を示すための指標としてよく使われています。
数値0~5は酸性、7~7.4は中性、8~13.5はアルカリ性と示します。
イメージにすると、すっぱい味のするものは酸性です。例えば、食酢や果汁など。草木を燃やしたあとにできる灰を水に溶かした灰汁(あく)のように、苦い味のするものはアルカリ性です。例えば、ほうれん草、こんにゃくなど。中性は、酸性とアルカリ性のちょうど中間の性質です。水道水など。
今回は、脂肪分の高い原料を使い、同じ抽出温度、抽出時間で、抽出水のpHだけ調整し、出汁を抽出しました。酸性のpH調整は、食品添加物に良く使っているクエン酸を使い、アルカリ性は、アルカリイオン水の薄め液と原液を使いました。  
抽出水のpHとだしの濁りとの関係を下記のように表します。抽出水のpHは、左から2.1(強酸性)、4.4(弱酸性)、7(中性)、8.5(弱アルカリ性)、12(強アルカリ性)の順です。(写真参照)
上記の抽出水で抽出しただし汁のpHは、それぞれ2.9、5.6、5.7、5.6、9.3でした。
3番の水道水で濁ったのに比べ、2番の弱酸性水はクリアの出汁が得られました。それは、pH4.5(弱酸性)付近で、節の網状に広がった繊維の部分(筋原繊維タンパク質と言い)の膨張は一番小さく、節中の脂肪は表面へ出にくいので、濁りが抑えられたと考えられます。
そして、1番はさらにpH値を下げると、逆効果となりました。また、4番と5番はアルカリ性が強くなると、濁りを生じ、最終的に乳化されたように、濁った出汁となりました。
それは、抽出水は強酸性や強アルカリ性して行きますと、節の筋原繊維タンパク質が膨張しやすく、節中の脂肪分は出やすくなり、濁りが生じてしまいます。
そのため、脂肪分が高い節を使うとき、濁りの防止対策は、抽出水のpHを調整することが方法の一つになるでしょう。
では、次回に。
参考文献:山澤正勝・大村裕治-「だし調整条件によるだし汁の濁りの生成とその抑制」