01.おすすめの一冊

絶叫
葉真中 顕  光文社文庫

アラフォー女性鈴木陽子の孤独死発見で幕を開け、彼女の過去に遡っていきます。これは関根祥子という失踪女性の過去を探っていく宮部みゆきの名作「火車」に似ていると感じます。しかし祥子を探すのが休職中の刑事と明確なのに対し、本書は陽子を「あなた」と呼び、彼女を子供の頃から知っている人物が誰なのか分からないまま進んでいきます。
 購入時から彼女が闇社会に堕ちていく話だとは分かっていましたが、家庭環境が貧困だとか本人が不良だとかでは全くない、中流家庭の普通の女性です。その堕ちていく過程がリアルで怖いです。ラスト直前に陽子を「あなた」と呼ぶ人物が誰か分かります。しかし私は読了後も作者の更なる仕掛けに気付けていませんでした。ネット上のレビューを読み「そういうことかー」と気づかされ、該当ページを2度読み3度読みしました。中1レベルの英語力と物事を関連付ける注意力が気付くための能力だと思います。私の中ではお勧め度高いです。