1.おすすめの一冊

イノセント・デイズ
早見 和真   新潮社文庫

本書はプロローグで、別れた元交際相手の妻と幼い双子を放火により殺害したとして24歳の女性田中幸乃に死刑判決が下る場面で始まります。その後第1部が事件前までの彼女の人生、第2部が判決後、彼女を救おうとする幼なじみの行動を中心に描かれています。
 第1部では事件後のマスコミも裁判所も、事実と違うステレオタイプの犯人像を創り上げていることが伝わってきます。そして第2部、彼女を救おうとする幼なじみ翔と慎一が奔走します。しかし2人のやり方は違いがありました。弁護士となった翔は、幸乃の無実自体は信じ切れず、再審請求による刑の執行までの時間稼ぎを狙います。フリーターの慎一は彼女を信じて無実を前提に動くのです。しかし自らの死を願う幸乃には2人の思いは届きません。彼女は無実なのか、刑は執行されてしまうのか、慎一の思いは彼女に届くのか。法廷で「生まれてきて、すみませんでした。」とまで言った彼女の人生に幸は訪れるのでしょうか。