03.鰹節の作り方(生切り・・・①)

それでは生切りです。生の鰹を切るに当たって、鰹節の使用状況をまず説明いたします。

鰹節は元来、献上品として使用されていました。古くは古事記などにも出ているのですが、地方からの献上品として、現在の鰹節という形になる前の鰹を、燻製にした物が皇室に収められていました。これは、「堅魚(かたうお)」や「煮型魚(にがたうお)」などと呼ばれていました。

現在でも、焼津では皇室に収める献上品を、業界団体の焼津鰹節組合主催による、焼津鰹節伝統技術研鑽会で製造しており、市の無形文化財に指定されています。そしてこの献上品は「新嘗祭」で使用されています。

鰹節は昔から結婚式の引き出物として使用されてきました。それは生の鰹を横に見たとき、背中側を(男節)、腹側を(女節)と言うのですが、この男節と女節を一組にする事で夫婦(めおと)になる為に、縁起物として使用されました。

これは「生切り」という工程で、鰹節を作るのに3種類~4種類の包丁を使用するのですが、職人がこの包丁を使用しますと、左右で1対ずつ出来上がるこの組み合わせの男節・女節が左右が同じになり、姿・形が流線型を伴って非常に綺麗になるのです。

この形が鰹節としての本来の姿でありましたが、戦後の経済が発達する中で、鰹節として求められる物の性格が変わりました。

削った物がパックとして流通される事も増え、表面にカビが付いている鰹節(本節・カビ付け・荒本仕上げ等呼ばれる)から、カビの付いていない荒節にも需要が変ってきました。結婚式での引き出物で鰹節がそのまま使用される場面も減ってきたのです。(我々業界ではこの鰹節本来の姿で売り出す事を「姿売り(すがたうり)」と言います。

「生切り」におきましては、頭を切る工程で、包丁で一匹一匹切る形から、「ヘッドカッター」と呼ばれる、頭を丸ノコギリでそのまま切る形に変ってきました。ヘッドカッターで切れば、数多くの鰹が切れるようになりますが、包丁でしたら一匹一匹と鰹の形に合わせて上手に切れる所を、機械の方は一定に切っていきますので、歩留まりが落ち、鰹節の姿・形が悪くなります。

そして焼津地区ではこの「生切り」を包丁で行う人達が急速ですが、少なくなって来ています。もう1つの生産地であります、鹿児島県の枕崎地区・山側地区にはまだ数多くの職人が残っておりますが、こちらの地区にも大量生産としての需要や、姿売りでの需要が少なくなり、ヘッドカッターを導入する業者が増え、包丁を扱える人数が減ってきております。