06.だしのプロがこっそり教える、おいしいだしの取り方

前号より続き・・・

7.日乾・かび付け
表面を削り終わった裸節を天日で1~2日乾燥させる。その後かびが発生しやすい温度湿度条件の室(むろ)に移し、節の表面にかびを発生させる。このかびのことを「一番かび」という。このかびの付いた節を天日で2日間ほど干した後、かびを拭き取る。この作業を繰り返しながら通常3番、長くても4番までかびを付ける。かび付けをしたものを「枯節(かれぶし)」と呼ぶ。

焙乾の目的について
かつおぶしの製造にあたって節の水分を減少させて、腐りにくくするために昔は日乾が行なわれ、その後わら火による火乾、さらに江戸時代に入って薪による焙乾法が発見されて、乾燥とともに燻すことによる香り付けが行なわれるようになって現在のかつおぶしがあります。このように焙乾とは乾燥が主な目的で、くん煙処理は付随的なものとなっています。

骨抜き(水骨法)し終えた節の水分はかなり高いため、菌の増殖がおきてしまいます。そのため最初の一番火は節の表面の水分を取り除き、表面に付着している細菌を殺菌して菌の増殖を防ぐのが目的となります。

焙乾による乾燥の効果
焙乾を繰り返し、水分量を20%前後まで落とすことにより腐敗を防ぎ、さらにかびを付けることによって15%前後まで水分量を落とせば不良かびの増殖を防ぐことができ、長期保存可能な食品となります。

このために乾燥を行なうのですが、節のように肉厚で密な繊維をもつものは、内部の水分が表面に移動しにくく、無理やり乾燥を行なうと表面だけが乾燥しひび割れを起こしたり、中心部の水分が外に出れず閉じ込められてしまいます。これを防ぐために、1回の焙乾が終わったあと、「あん蒸」という内部の水分が表面に移動してくるように放冷し寝かせておく作業があります。

焙乾によるくん煙の効果
1.香気の付与
ナラ・クヌギ・サクラなどの薪のくん煙成分に含まれるフェノール物質やカルボニル類などいわゆるスモーク臭を付与すると共に、魚のもつ生臭さをマスキングします。

2.腐敗防止
くん煙による節の水分減少により保存性があがると共に、くん煙の成分自体が細菌の増殖を抑制する効果をもっています。このためかび付けのまえに荒節の表面に付いたタール分を取り除くことでかびの付きを良くしていると考えられます。

3.酸化の防止
くん煙成分中の、特にフェノール系化合物には酸化防止剤として有効な物質が多く含まれています。節中に含まれる脂質の酸化を防止することにより、魚臭を抑え油焼けや渋味の発生を抑制する働きがあります。

次回はかび付けの目的と効果についてかつおぶしの品質とうまみ成分についてその他の節原料について説明いたします。

参考資料 だし・エキスの知識より