05.検査業務について

真菌(しんきん)カビ・酵母
カビ、酵母、キノコという呼び名は、いずれも一部の真菌につけられた俗称です。カビは糸状の細胞(菌糸)を伸ばして成長するもので糸状菌とも呼ばれ、酵母は単細胞状のものでキノコは菌糸が集まって子実体を形成します。

カビ
カビは自然界の掃除屋です。形あるものを食べて分解(腐敗)していきます。人間にとって、無害か有益なカビがほとんどで、発酵食品、医薬品の製造、環境浄化など幅広く利用されています。中にはカビ毒を産生する有害なカビもいますが、それは何万種類もいるカビのごく一部です。

カビ毒
細菌の毒素は大部分がたんぱく質で、分子量が何万、何千と大きいのに対して、カビの毒素は分子量が何百という小さい化合物です。細菌の毒がトキシンと呼ばれているので、分子量が小さい毒という意味でマイコトキシンと呼ばれています。

カビ毒が発見されたのは今世紀に入ってからのことで。カビ毒は慢性毒であるため、長い間風土病だと考えられていたり、カビ以外の原因だと思われていたケースもあったようです。

最初のカビ毒の発見
若いライ麦に寄生して、実に角状の子実体(きのこのようなもの)を作る麦角菌(ばっかくきん)というカビがいます。寄生された穂を見れば変形しているのでわかりますが、製粉してしまうとわからなくなってしまいます。1926年にロシアで集団中毒が起こり、壊死(えし)、けいれん、流産などが多発しました。のちに研究がなされ、麦角アルカロイドと総称されるカビ毒が見つかりました。

日本でカビ毒が問題になったのは、昭和12年、当時日本の支配下にあった台湾で黄変米(カビが生えて黄色くなった米)がとれたことからです。サンプルが日本の食料研究所に送られ、進行性麻痺や吐き気、けいれんなどを起こし、中毒が進むと呼吸麻痺で死亡するシトレオビリジンというカビ毒が見つかりました。

そして戦後、援助物資としてタイから輸入された米に黄変米が混じっていた時、それらから腎臓障害、肝臓障害などを起こす二種類のカビ毒が見つかりました。

その後、食料衛生調査会によって、黄変米が1%以上混入しているものは配給に回さないという基準が決められましたが、倉庫に積まれた在庫のカビ米の処分に困り、農林省が「3%以上に基準を変える」と計画をしたのを朝日新聞がスクープして、「国民に毒を食べさせるのか」と世論は騒然となりました。これが戦後の「黄変米事件」です。

カビ博士の研究室Dr.アースより引用参考資料:食品衛生検査指針・学研サイエンスキッズ