01.滝井敦のお勧めの1冊

≪戦士の賦(上・下巻) 土方歳三の生と死 三好 徹 著  集英社文庫≫
鎌田真吾 総合法令出版

私は歴史小説が好きです。歴史小説などは、初めは何の興味も沸かなかったのですが、たまたま新幹線に乗る機会が有り、電車内での時間潰しのためにと立ち寄ったキオスクでこの小説を手にしました。皆さんは土方歳三に付いて既に御存知の方は多いと思いますが、初めて本を手にした私は、「土方歳三って聞いた事がある」位の気持ちだったと思います。

この本は、土方歳三が新撰組を結成する前から戊辰戦争の函館五稜郭近郊で戦死するまでを描いています。初稿の土方は、多摩地方の田舎者で武士になる事を夢見、薬を売りながら剣術をし、後の新撰組局長近藤勇と出会う所から始まります。

土方は近藤と共に新撰組を設立し、自ら副長となり新撰組内を「血の掟」で縛り上げ、新撰組を幕末最強の集団へと変貌させていきます。そんな土方を「鬼の副長」「鬼の土方」等と人々に呼ばれ、とても恐れられていました。幕末になり新撰組は旧幕府軍となり、官軍となる薩長軍と戦う運命になりました。

その戦が続く最中、盟友近藤勇・沖田総司ら新撰組隊士の多くが戦死・病死していき、残されたのは函館五稜郭に集う土方と数人の隊士だけになってしまいました。

私は土方が、五稜郭戦争で戦死するまでに見せる心の変わり様が、とても切なく感じました。人々から「鬼の副長」「鬼の土方」と呼ばれていた頃とは違い、戦死後、新撰組隊士から「赤子が母を欲するが如く」と言われる程、最後はとても愛されていました。

昭和初期まで、新撰組は悪者でした。
しかしこの本を読み終わる頃には、きっと新撰組や土方歳三がとても好きになっているはずです。

私がこの本を読み終わったのは、たまたま土方歳三の命日である5月11日でした。