08.山彦日記  2月3日  節分

2月は寒い。一年で一番寒い時期である。温暖といわれる静岡、それでもやはり寒い。山彦の住む田舎は標高が高いので更に1~2℃は寒いと思われる。年寄り達は着ぶくれをして丸々している。

そんな季節に節分を迎える。節分は大寒の翌日、今年は2月3日である。山彦が子供の頃、節分の日の主役は子供たちだった。

おばあちゃんが物干しの柱のてっぺんに*1石箕(イシミ)と柊(ヒイラギ)を明るいうちに結わえておいてあって、夜それに向けて炒った大豆を投げるのである。寒さをがまんして戸を開け放ち、暗い庭へ縁側から山彦兄妹が先を争って大きな声を張り上げて豆を投げた。その後 豆を食べる。年の数だけといわれてもその数でおさまる兄妹ではなかった。普段はあまり食べない炒り大豆をこれまた争うように食べた気がする。

いまでも山彦の家では炒り大豆を購入し、石箕や柊は準備しないが豆まきはする。愚息の代になると大きな声はさすがに恥ずかしいので、「福は内 福は内」小声で連呼する。(児童文学*2「泣いた赤鬼」で号泣した山彦は以後「鬼は外」とは絶対言わない)

昨今では節分といえば豆まきより「恵方巻」ががぜん優勢と思われるが、山彦の食卓には縁がない。愚息に「恵方巻」をねだられても「この田舎にはそういう慣わしがないから」と却下していたが、「じゃあクリスマスのケーキはどうなの?クリスチャンじゃないよね。昔からそういう慣わしあったのかなあ」う~ん 君も成長したね。

翌日は立春 皆さんも寒さに負けないでください 本当の春はもう少し先

*1石箕 穀物や豆などの持ち運びや選別等に使用する竹で編んだ浅いかご様な農具の一種
*2泣いた赤鬼 浜田廣介作の児童文学 心優しい鬼とこれまた友達思い鬼のほろ苦いお話