03.相裁ち(後卸し)

今月は後卸です。
後卸しは身を逆にして左指で男節の部分を抑えて、僅かながら出刃を身に沿うようにして、ひねりながら切っていきます。

男節と女節の境目は固いので、体重を刃に載せるようにして、切ります。

相断ちは、成形という意味合いが濃く、鰹節職人として相断ち包丁を使わせてもらえるようになるまでは、10年くらいかかりました。つまり相断ちができなければ1人前ではなく、相断ちができれば1人前として認められるようになったのです。

理由としましては、1本の鰹から背側の部分の鰹節と腹側の部分の鰹がそれぞれ2本できあがります。2本それぞれが重さを計った時には、両方とも同じ重さでなければなりません。

それが100本の鰹を使用したら、鰹自体のサイズは大小様々であっても左右対称の鰹節がそれぞれ200本で、合計400本できなければなりません。

昔の鰹節は贈答用として特に結婚式の引き出物等に使用されたものですから、姿形がいびつであったり、非対称である事は許されませんでした。自然に相断ちという工程には包丁をつかう場面として多くの物が要求されるようになってきたのです。

焼津市では年に1度、伝統技術研鑽会という、秋の新嘗祭に献上する為の鰹節製造を5月から始めていきます。この時に、本当に職人の数は少なくなったのですが、焼津の数人の職人が集まり鰹節を手作りで作っていくわけです。(近年は鰹節製造が工業化が進み手作りで作る人は少なくなりました。)

その際の相断ちの作業は本当に見事です。鰹を含めて魚の多くは、固い部分と身の柔らかい部分があるのですが、職人の刃のスピードがどちらに切り込んでいっても落ちる事がありません。また切り口が汚くなる事もありません。

このような技術が受け継がれる場面がなくなり、数十年もすれば本物の鰹節をできる人間が居なくなるかもしれませんが、社会の流れからして仕方がない事なのかもしれません。

 

次号に続く