01.お勧めの1冊

《リピート  乾くるみ    文春文庫》

本書は過去へのタイムトラベルものです。

このジャンルでは現在の自分が身体ごと過去に行き、その時代には異物として存在する設定が多いと思いますが、本書は現在の自分の知識や記憶を持って過去の自分の身体に入るという設定です。

つまり人生を繰返す、やり直せる。ただしリピートできる日は10月30日、遡る過去は同年1月13日に限定されていて遡れる期間はわずか10ヶ月、やり直すといってもできる事は限られます。

リピートできる日時と場所を発見したリピーターに招待されたゲストの中には、10月中に大学入試の問題と解答を暗記して、遡った時に実力以上の大学に入ろうとする浪人生や、競馬の結果を暗記するトラック運転手もいます。

そこには事故を防ぎ人命を救う等の発想はなく、余りに現実的な行動に笑ってしまうと同時にリアリティを感じ、自分ならどうするか想像してしまいます。10ヶ月では思いつかず、せめて5年遡られればリーマンショックに備えFXによる投資の損失を防げたのにと考える自分に、登場人物と同レベルだと突っ込んでしまいました。

それはさておき、後半には過去に招待されたゲストが次々と不審死を遂げていきます。彼らを招待したリピーターは殺人鬼ではありません。ならばなぜ?

前半は自分ならどうすると想像(妄想)を、後半はミステリーとして楽しめる小説でした。