06.食品調味について

5味の概要
前回に引き続き鹹味(しおからみ)についてお話していきます。

酸味や甘味に比べて、塩の味だけは飽きられることがありません。また、私たちは鹹味を欠く食事は2回と続けられるものではありません。

そのことは同時に、食塩が人体に欠くことのできない物質であるということの立証でもあります。すなわち、食塩は生体内で重要な生理作用を行っているのです。

生きている細胞の原形質は水を自由に通しますが、水の中に溶けている物質はほとんど通しません。

このようにある物質を通し、ある物質を通さないような膜を半透膜といいますが、半透膜を通って溶媒が溶液中に侵入する圧力をその溶液の浸透圧といいます。

人体の新陳代謝や栄養の運搬などの体内の物質の移動には、血液やリンパ液や細胞液の浸透圧の差が利用されています。食塩はこの圧力の釣り合いを保つ役目をしています。

私たちが美味しいと思うお吸い物の食塩濃度はだいたい1%前後で、これが人間の血液の浸透圧にほぼ等しいということは、何か深い意味がありそうです。以上のように食塩は調理面にも生理的方面にも、私たちが生きていく上になくてはならないものなのです。

旨味(うま味)
食物には甘、酸、鹹、苦の4味のほかに一種独特の味があります。日本において古来から、だしの味、昆布の味、しょうゆの味として親しまれてきたうま味がそれなのです。

このうま味は昆布のだしにもっとも明瞭に感じられることから、このだし昆布を対象に研究を行い、ついにだし昆布はグルタミン酸を含むこと、およびグルタミン酸塩はうま味の感覚を与えるものであるということを発見しました。

この発見によってはじめて、前記4味に加えてうま味という味が世に知られるに至り、グルタミン酸ソーダは味の素という名前で、うま味の代表的なものとして市販されるようになりました。

グルタミン酸の他に、うま味を呈する物質には今まで知られているものにイノシン酸、コハク酸があります。グルタミン酸は昆布、みそ、しょうゆなどの植物性の食物に多く、コハク酸は貝類に、イノシン酸は肉とか魚などの動物性の食物に多く含まれていて、それぞれの食物のうま味の主成分をなしています。
参考資料;食品調味の知識より