06.だしのプロがこっそり教える、おいしいだしの取り方

しおから味
しおから味は多くの食品の味の基本となります。例えばスープを飲む場合、しおからさが強すぎても飲みにくく、弱すぎると味がボケて、間の抜けたものとなり」、ちょうど良い範囲は割合に狭いのです。

甘味とかうま味は、しおから味ほどその好まれる範囲が狭くありませんが、しおから味だけは好まれる範囲が狭くて、また個人差も割合に少ないのです。

しおから味には前には鹹味という字を用いていましたが、これは常用漢字にはありませんし、カンミという呼び名も日常会話の中では使われないものです。

辛味と言っても良いのですが、日本語では香辛料などのピリピリする感じをからいということが多いので、この香辛料の辛味と混同しやすいのです。

それで、ここでは食塩の味をしおから味と呼ぶことにしています。世の中にあるしおからい物質はすべて化学的には塩と呼ばれるものです。

塩は“しお”と読めば普通食塩(NaCl)を意味しますが“えん”と読めばイオン結合した化合物、例えば硫酸ナトリウムとかリン酸カルシウムとかリンゴ酸ナトリウムなどというような化合物を指す一般的なものとなります。

ここでは塩化ナトリウムを食塩といい、化学的な塩類は塩(えん)と呼んで区別することとします。本来のしおから味は食塩の味です。

純粋にしおからい物質は食塩つまり塩化ナトリウム意外にはありません。他の塩類は食塩のようなしおから味を離れて、甘味とか苦味を併せ持っています。

例えば鉛(Pb)の塩は甘く、酢酸鉛などは鉛糖と呼ばれています。またマグネシウム(Mg)の塩は苦く、例えば塩化マグネシウムは苦汁(にがり)の主成分となります。

食塩のしおから味
食塩の塩化ナトリウムの塩素イオンがからいのか、ナトリウムイオンがからいのかという疑問を持つ人が多いですが、食塩のしおからさはナトリウムイオンと塩素イオンの双方によるもので、片方だけでは個の味が出せません。

例えば、コハク酸ナトリウムはうま味が強く、グルタミン酸ナトリウムは典型的なうま味の代表で、しおからい味とは遠く離れたものなのです。

また、塩素イオンについても、塩化ナトリウムと化学的性質はよく似ている塩化カリウムの味は苦味と塩味を混ぜたような味で、塩化リチウムや塩化アンモニウムの味はしおからいことはしおからいが食塩とは異なり、塩化マグネシウムに至っては苦いばかりなのです。

参考資料;食品調味の知識より