01.お勧めの1冊

≪ニサッタ、ニサッタ≫
乃南アサ  講談社文庫

以前私は企業小説が好きだと書きましたが、それは自分とほぼ同世代の中年が企業間競争や社内抗争等で悪戦苦闘するものが多いです。

本書は20代の若者がその企業に入る事自体に悪戦苦闘する物語です。主人公は新卒後就職した2部上場企業を些細な理由で退職、再就職先が倒産した後は転がるように堕ちていきます。

住込みのアルバイト先で踏ん張る姿や、東京を諦め故郷の知床に帰ってもアルバイトからもう一歩で正社員という所まで頑張る姿は応援したくなります。しかしそこで飲酒運転で捕まる等今一つ共感できない主人公ですが、その事故での入院先から新たな出発を誓います。

私も社会人になってからは人並みには厳しさも味わったつもりですが、少なくとも社会に出る時点では好景気だった事もあり拒絶はされませんでした。

大学生の3人に1人が就職できないというこの時代に、自分とは異なる世代の彼らがどんな気持ちで頑張っているのだろうと思いながら読みました。