01.お勧めの1冊

プライド
真山仁  新潮文庫

正義漢面した事業仕分け人を論破する高級官僚、自分の味覚を信じて賞味期限切れの牛乳を使ったケーキ職人等プライドをテーマにした短編集です。各々興味深い短編ですが、特に印象深かったのは「ミツバチが消えた夏」です。

主人公代田悠介は戦場カメラマンから養蜂家に転身しました。理由は戦地で子供のどんなに悲惨な写真を撮り発表してもそれで戦争は終わらない、撮った直後にその子供が爆死するなどの過酷な体験がありました。

そんな彼の身近で次々と蜜蜂がいなくなります。役所は隠しますが、ある農薬が原因でした。その農薬で蜜蜂は神経を冒され巣に戻れず死んでいくのです。

彼は手足をばたつかせて死んでいく蜂を見て、戦地の子供達を思い出します。命を賭けた戦場から養蜂家への転身は昔の仲間から府抜けたと言われますが、決してその時の事を忘れた訳ではありませんでした。長編ならその後どう展開するだろうと思わせるラストでした。